世界チャンピオンでオリンピックのIOC委員でもあり、世界の卓球協会会長も務められた故、荻村伊智朗さんを陰で全面的・献身的に支えてくれた卓球センターのおばさん「上原久枝さん」を通して荻村さんを書いた感動的な本。卓球センターのおばさんが、荻村さんがロンドンの世界卓球選手権大会に出場するための自己負担金80万円(現在の2,000万円相当)を卓球センターのメンバーに働きかけて皆で街頭募金活動して集めた話は有名。しかし、荻村さんの人柄が自己中心的にもかかわらず、これほどまで赤の他人のために母親以上に支えてくれたということは知らなかったし、とても感動した。毎日夜中の12時過ぎまで練習させてもらい、夕食も毎晩御馳走になり、2着しかないユニホームも洗濯してもらい、母親よりずっと支えになってもらいながらも、世界チャンピオンになって日本に帰国した時も、マスコミに私を支えてくれたのは母親より卓球センターのおばさんのお蔭ですと一言も言わない荻村さんの身勝手さに腹立たしさも感じられるが、それ以上に、本当にただただ陰で支えてくれたおばさんの素晴らしさに感動した。
荻村さんには、第1回東アジアホープス卓球選手権大会の予選会の時(田勢たち4~5名の小学生を今後どうするのかと聞かれたとき)、平成4年長井市で少年の部の国体が開催されることになっていた時、その数年前から長井在住の登山家で同じ山形県職員だった植松さんの紹介で2~3回懇親会等に参加させてもらったときに話しさせていただいた。
また、荻村さんは平成6年12月亡くなられたが、この年、田勢邦史・青木大輔組で全日本カデットダブルス優勝した年でもあり、なんかとてもつながりを感じる。
本人の頑張りはもちろんのことだが、いろいろな人に支えながら階段を上りあがっていくんだなと改めて感じさせられる。だからこそ感謝の気持ちを忘れず、大切にしていかなければと思う。熟読した日に、このことを子供たちに伝えた。
2014.10.28